LaTeXの記法#
理工系で使われる組版システムであるLaTeXは、数式を入力するのに適しており、markdownでも数式をLaTeXで記述することができる。
markdownでは、数式は、$で囲むことでインラインで表示できる他、式番号を付与した独立した式として記述することもできる。
いくつか互換性の問題が生じるので、注意が必要である。 例えば、VSCodeのmarkdown環境で表示されていた数式が、Google Colabでは表示されない、HTML化してWebにデプロイした環境では正しく表示されないなどの問題がある。 実際に作成されたものが正しく表示されているか確かめるのは当然として、できるだけambiguityのない書き方(省略できる括弧も省略しない、など)を心がけると良いだろう。
簡単な例#
インラインで書きたい場合は$
で囲む: \( f(x) = a x^3 + b x^2 + c x + d \)。
上の数式を表示するためにmarkdownでは以下のように記述している:
$ f(x) = a x^3 + b x^2 + c x + d $
独立した数式の場合は、$$
で囲む(数式の前後に空行を入れよう):
上の数式を表示するためにmarkdownでは以下のように記述する:
$$
\begin{align}
\int^{2}_{1} x^2 dx & = \frac{1}{3} (2^3 - 1^3) \nonumber \\
& = \frac{7}{3} \
\end{align}
$$
基本的な記号(二項演算子等)#
すべてを網羅的に列挙することはできないが、よく使うものをまとめておく。
記号 |
LaTeX記法 |
説明 |
---|---|---|
\(\times\) |
|
掛け算 (明示的に書きたい場合) |
\(\div\) |
|
割り算 (明示的に書きたい場合) |
\(\pm\) |
|
プラスマイナス |
\(\mp\) |
|
マイナスプラス |
\(\cap\) |
|
共通部分 |
\(\cup\) |
|
和集合 |
\(\subset\) |
|
部分集合 |
\(\supset\) |
|
上位集合 |
\(\in\) |
|
属する |
\(\notin\) |
|
属さない |
\(\forall\) |
|
全ての |
\(\exists\) |
|
存在する |
\(\nexists\) |
|
存在しない |
\(\therefore\) |
|
よって |
\(\because\) |
|
なぜならば |
\(\sim\) |
|
同値 |
\(\simeq\) |
|
同値 |
\(\approx\) |
|
近似 |
\(\equiv\) |
|
同値 |
\(\propto\) |
|
比例 |
\(\le\) |
|
以下 |
\(\ge\) |
|
以上 |
\(\neq\) |
|
等しくない |
\(\leq\) |
|
以下 |
\(\geq\) |
|
以上 |
\(\ll\) |
|
はるかに小さい |
\(\gg\) |
|
はるかに大きい |
\(\cdots\) |
|
中点 |
\(\ldots\) |
|
横中点 |
\(\vdots\) |
|
縦中点 |
\(\ddots\) |
|
斜め中点 |
\(\infty\) |
|
無限大 |
\(\angle\) |
|
角度 |
\(\nabla\) |
|
ナブラ |
\(\partial\) |
|
偏微分 |
\(\frac{a}{b}\) |
|
分数 |
\(\sqrt{a}\) |
|
平方根 |
\(a^b\) |
|
上付き文字; 指数 |
\(a_b\) |
|
下付き文字 |
\(a \cdot b\) |
|
内積 |
\(a \times b\) |
|
外積 |
\(\log_{a} b\) |
|
対数 |
\(\ln a\) |
|
自然対数 |
\(\exp{a}\) |
|
指数関数 |
\(\sin{a}\) |
|
正弦 |
\(\cos{a}\) |
|
余弦 |
\(\tan{a}\) |
|
正接 |
数式を作る#
equation
環境やalign
環境を使うことで、数式を作ることができる他、
それらの環境内でも、様々な環境を用いて複雑な数式を作ることができる。
align
環境は、数式を整列させるための環境で、&
で区切ることで、整列させることができる。Equationを包含するとも言えるのでこちらのみ説明する。
alignの基本的な使い方は、\begin{align}
で始まり、\end{align}
で終わる。
\\
で改行し、&
で区切ることで、数式を整列させることができる。(&
を省略してしまうと、末尾でalignされてしまうので注意)
align内で使うことのできる環境の例をいくつか挙げておく。
行列を作ってみよう。行列には、括弧なし(bmatrix
)、丸括弧(pmatrix
)、波括弧(Bmatrix
)、角括弧(vmatrix
)がある。
基本的には丸括弧を使うことが多いが、状況に応じて(例えば行列式ならvmatrix
)使い分けよう。